2022年3月に起きた福島沖を震源とする地震により東北新幹線が脱線した事故で、運輸安全委員会は28日、強い揺れに伴って片側の車輪が浮き上がり、車軸が横方向に移動した際にレールから外れる「ロッキング脱線」に至った可能性が高いとする調査報告書を公表した。ほかに鉄道施設や車両の異常、運転取り扱いの誤りはなかったと推定。現場の高架橋などの損傷についても、脱線の直接の要因ではなかったと考えられるとした。
 運輸安全委などによると、地震による新幹線の脱線事故は今回4回目。04年の中越地震の際も「ロッキング脱線の可能性が考えられる」と指摘された。
 報告書によると、全17両の車軸計68軸のうち16両60軸が脱線し、少なくとも10軸は隣線へのはみ出しを防ぐための「逸脱防止ガイド」がレールを乗り越えていた。
 強い揺れなどにより台車と車体の間に設置されていた「空気ばね」の空気が抜け、脱線を助長した可能性が高いとした。
 脱線直前に発生した1回目の地震を検知して列車は停止していたが、先頭車両も脱線していることから、被害が拡大する可能性があったと指摘。車両や高架橋といった構造物の振動抑制など、再発防止に向けた取り組みを求めた。 
〔写真説明〕地震で脱線し、移送された東北新幹線「やまびこ223号」の車両の一部=2022年3月、JR仙台駅

(ニュース提供元:時事通信社)